魔法のレンズ

大森貴洋を含め今世界を舞台にして活躍する挑戦者達の多くは、将来はおそらく第4世代と呼ばれる英雄となっていくだろう。彼らは輝くべき舞台に立つために人生の半分以上を時間を費やし、己の精神の限り、人生の持てる力の限りをかけて勝負している。”試合は優勝しなければ意味がない。”これは10年くらい前の大森貴洋の言葉である。半年前にフランスのオフィスへ行った際に、昔のBASSERをふと読んだ時に目にしたコメントだ。その取材を担当していたのが小笠原氏だった。今も昔も、誰よりもバスプロ大森貴洋を美しく表現していた。小笠原氏は世界でNO,1と言っても過言ではないくらいの一流のカメラマンだ。そして素晴らしい業界哲学者でもある。そんな彼の写し出すバストーナメントの世界観に感動し、現在に至るまでその夢の世界に影響されてきたのも事実だ。我々が夢見る、愚直なまでに純朴な男:大森貴洋の一挙一動を、これまでの歴史を振り返りながら世界で一番美しくそれらを描写できるのもまた小笠原氏しか考えられない。それはレンズを通して大森貴洋を追いかけ続けて来た絶対的な時間だけではなく、彼には他のジャーナリストには無い不思議な能力があるからだ。

バスプロやカメラマンなどの日々レンズを通して物事を捉えながら生きるアーティスト達は、誰にでも理解されて会話が出来る人はなかなかいない。彼らからの信頼を得るまでに果てしなく長い時間を要する事も珍しくは無い。時に激しく狂気に満ちた表情で襲い掛かってくる事が、彼らの最大限の喜びの表現であったりする事もある。信じがたい事実ではあるが、それらはまったく有り得ない話でもない。なぜならば、彼らは極限の精神状態の中で、究極のエゴイストとも言うべき欲望の元に最高のパフォーマンスを求め日々生きているからだ。彼らの人生の全ての美徳がそこにあるために、本来あるべき人間としての道徳化された感覚さえもどこか遠い存在へと追いやられてしまいがちなためだ。カメラマン小笠原康高には、やはり生粋のアーティストとしての血が深く脈打っている。それはどこか深い優しさにも似た温かいハートで包み込みながら、彼のレンズは日々移り変る被写体独自の表情から連想される歴史的背景さえも全て瞬時に描写していく。そんな魔法のレンズは世界中のどこを探しても存在しないだろう。彼の一流の技術で持ってでしか、それは存在し得ない事実だ。全ては心の中に描いた巨大な夢の地図を最高速で走り抜けるために、そして己の自尊心における最大の喜びを享受する為に。


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