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アスリート

2003年度を越えた辺りから、大森貴洋はある意味ほぼ完成された強さを持っていた。テクニカルな意味では必要な要素はほぼ全て身につけていただろうし、トーナメントでの行動や判断にもその正確性を裏付ける理由というものが確りと備わっているように見える。そして彼は念願のタイトルであるバスマスタークラシックチャンピオンのトロフィーを獲得し、世界最高峰の頂へ上り詰めた。しかしそれでもなお彼が今後の成長を促すであろう余白を残していると感じさせるのは、かつての大森貴洋と同じくいまだになお自分の行くべき道標を自問自答するかのような話し方、そして自分の成果を受け入れないでいるその謙虚さだ。かつてバスマスタークラシック4回優勝という金字塔を成し遂げたリッククランが、数々のタイトルを総なめにして行く若き英雄ケビンバンダムに向けてこんなコメントを残した。”人は夢を追いかけて、その努力が充実した時に何かその栄光の形を手にするだろう。懸命な努力を続ければきっと報われる。夢とはそんなものだ。しかし人間はその夢の形を手にした後が大切なんだ。ずっと思い描いてきたものを手にして、それでもなお努力していく過程に人間の成長過程があるんだ。努力の理由、成功するためのプロセス、その莫大なエネルギーに対する自尊心こそが、永遠にプロスポーツ選手として心を魅了してくれる理由なんだ。”

心の目標

今年の大森貴洋氏には、アスリートとしての覚悟が伺えた。人から尊敬される、それを職業として考えるアスリートとして、どう自分を持って行くかという彼自身の葛藤と何か答えに近い解答を彼は持っていた。”釣は時間と経験がものを言うスポーツ。暇と金を与えられて、じっくりと釣を経験する時間を与えられた人間はバスプロではない。そうやって成長した人間はプロフェッショナルではない。実際に釣時間と釣技術を自分で作り出し、夢と栄光を自分で掴んだ人間でなければ、真のアスリートではないんだ。”と彼のプロフェッショナリズムは主張している。我々はこの誇り高きプロフェッショナルと共に、今後の真実のメーカーとしての確固たる未来像を築き上げて行きたい。

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